55.夜明け












さよならです、十代目。


突然告げられた別れ。
迷いもせずに背を向けて遠ざかっていく。
呼んでも、聞こえない。
追いかけても、届かない。
なんで、どうして、答えてくれないの。
暗闇にとけるように消えて。
見えない。
ねぇ、どこにいるの。


獄寺君。
獄寺君。


ごくでらくん・・・!
















オレの右腕が見つかった。 だから、お別れだよ、獄寺君。


冷ややかに放たれた別れの言葉。
隣にいるのは山本でも無い、知らない男。
右腕でなくても良いんです。
貴方の傍に居られたら良いんです。
お願いです、オレの世界から消えないで下さい。
すぅ、と吸い込まれるように暗闇に飲まれ。
姿が無い。
どこにいるんですか。


十代目。
十代目。


じゅうだいめ・・・!




















息を荒くして飛び起きる。
汗が背中を伝い、目にはうっすら涙が浮かぶ。
窓を見れば、夜が明けて間もない太陽の光。
アレは夢。
悪い、夢。

本当に?

不安が体中を駆けめぐり、無意識のうちに携帯を握りしめていた。














少しだけ、獄寺の方が早く。

綱吉の携帯電話から着信音が聞こえた。


















『十代目?』
『獄寺君?』











声を聞いた瞬間、緊張が解ける。



だけど、まだ足りない。















『『会いたい・・・!』』















貴方を抱き締めれば、きっと。
































若者よ、夢魔に喰われる事なかれ。
















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私は大抵夜明け頃に怖い夢を見ます。
それこそ、大切な人が死んでしまったりとか、恐ろしいモノに追いかけられていたりとか。
夢なのに、泣きながら目覚めた事もあるくらい。

獄ツナなら、ひたすらイチャついて悪夢を忘れるんだろうな、と。
ツナが携帯持ってるのは気にしないで下さい(滝汗

2007/04/12