理由は可哀相だと思ったからだ。
彼は、それなりにチョコレートを貰えるだろうとは思う。
だが、今日は彼と共に住む幼馴染みを、サスーンにいる友人が訪ねて来ているはず。
その二人は友人以上の関係だった。
居場所には困るのではないか。そう思った。だから、呼んだ。





「レフィア!」
カスズの近く。村からあまり離れていない場所。
聞き慣れた声に、レフィアはゆっくりと顔を上げた。
茶色の髪の少年が、軽く手を振りながら、歩み寄ってくる。
少し髪が伸びたかもしれないと、レフィアは思った。
最後に会った時より、また少し大人びた―――とも。

「久しぶり。どうしたの? 急に」
「貴方が、居心地悪いんじゃないかと思って」
「ああ・・・・・・」


レフィアの言葉に、アルクゥは納得したように頷く。
「あの二人の邪魔したら、馬に蹴られちゃうからね」
苦笑を浮かべた彼の言葉に、レフィアは肩をすくめるしか無かった。
やはりあの二人が揃うという事で、気を遣っているのだろう。同居も大変だ。
「でも、レフィアに呼んでもらえたから助かった、かな」
いつもの微笑みを浮かべるアルクゥ。
レフィアは目の前にいる彼を見上げ、気付いた。

背も、伸びたのだと。

「・・・何だかくやしいわねー」
「え? 何だい?」
「いいえ! 何でもないわ」

小さく首を振り、レフィアは持っていた小さな袋を差し出した。
今日のために作ってきたものだ。練習もした。
本当は、これを渡したかったのだ。だから、呼んだ。
けれど、それを直接伝えるのは恥ずかしかったから、今はアルクゥが
落ち着ける場所を作るため・・・・・・という事にしておこう。

「あげる」
「・・・僕に?」
「他に誰がいるって言うのよ。折角、バレンタインなんだし」

少し、厳しい言い方になってしまったかもしれない。
言ってからそう思ったレフィアは、咄嗟にアルクゥの目を見た。
彼は嬉しそうに微笑んでいた。ゆっくりと包みに手を伸ばす。

「ありがとう」

大切そうにそれを受け取り、ゆっくりともう片方の手を伸ばしてきた。


「レフィアに貰えて、良かった―――」


髪を滑る指の。
微かな、温もりが感じられて。
レフィアは顔が熱くなるのを感じ、慌てて下を向く。

「(・・・ずるい、わよ)」

"レフィアに貰えて、良かった"なんて不意打ちの一言に加え。
まさか、こんなふうに撫でられる―――なんて思ってなかったから。

「・・・レフィア?」
「な、何でもないわ!」



どうしよう。相手の顔が、見られない。
意識してしまう。何故かなんて


自分じゃ分からないけれど――――。








Fin









□あとがき□

グズルーと共にFF3ではお久しぶりです、な、淡海です!

久方ぶりにアルレフィを書きました。いやー、楽しかった!(何)。
今回FF3はバレンタインという事で、この二人は男女カプなので
じゃあ普通にバレンタインだ!(どういう事だ)と思い、頑張って
書いてみようとしたのですが、ところがどっこい、男同士の絡み合いを
書きすぎて逆に普通の男女カプで書けなかったとはどういう事だ(爆)。

とりあえず、アルレフィ出来ているかどうか心配です。
雰囲気的にはアル←レフィになっている模様ですが、レフィアはこれが
恋愛感情かどうか分からなくて戸惑っている感じです。アルクゥの事を
男の子として意識はしています、無意識にですが。
対するアルクゥは・・・・・・完全に天然で本編の言動です。決してタラシじゃあ
無いですよ! 格好良いだけなんです!(そうなのか)。















08/02/14   淡海知博






****************************************************************

素敵グズルーSSと一緒に強奪・・・いやいや、頂戴して参りましたアルレフィSSです!!
アルクゥは気弱そうに見えて、実は格好良いと思っていますワタクシ。
ある意味ではルーネスより格好良いんじゃないかと。
こういうレフィアの片想い的な、それでいてアルレフィな関係って大好きなんです。
で、ちょっとずつ自覚していって欲しいですね。 ゆっくり、ゆっくりと。
淡海様のアルレフィは理想ぴったんこで悶えてしまいます(うっとりv
可愛いアルレフィを有り難う御座います! 御馳走様でした☆

素敵なSSを書かれた淡海様のサイトは↓のサイト名からドウゾ☆ 必見ですよ〜!
□ TIME CHILDREN □